女性はみんな少女漫画のような主人公になりたい
「お嬢様」っぽく見せるのがモテるための重要なステータス
題して『エビちゃんシアター』。ストーリーは、エビちゃんは純朴な青年ケンと別れ、高級外車を乗り回し自家用ヘリま持つ清水と結婚寸前まで行ったけれども、最後はケンを選びました。終わり。毎月の着まわし劇場と寸分たがわぬものであることが即座にご理解いただけただろう。嘘は方便であって、エビちゃんの可愛さとシチュエーション別着回しがあり、イケメンに愛されつつ、本命と結ばれればよい。求愛役となる「間男」にこそイケメンは配置され。間男のほうが重要、という間男のテーゼはここでも繰り返される。
意識的というよりも、作り手と読者の願望そのものが、幾度もコピーされるのだろう。ネットで調べるに、胴水さんの人気は高い。しかし話が「どうでもいい」からには、むき出しの構造と、身も蓋もない本質が現れ。なんの本質か?エビちゃんに自己投影したい女の、ファンタジーの好みである。「エビちゃんシアター』にはシーズン2があり、話は少しややこしく、だいぶ劇的になる。エビちゃんが二役をする。ユリとルリは、生き別れた双子らしいことが暗示されている。
ユリはお嬢様で(清楚サイド)、父親のとつぜんの死去によってアパレルメーカーの若き社長になった。その頃ルリ(ワイルドサイド)は、同じアパレル業界の片隅でギャル系ショップの店長をしていたところ、女実業家に仕立てあげられ利用されようとしている。「成功は、他力によるものこそ羨ましい!」という女の心性を、ここはひとまず心に留めておいてください。話は、互いの存在を知らない二人が、会ってしまうことからはじまる。瓜二つなうえ、なぜか同じネックレスをしていて運命まで感じちゃいそうだった二人だが、商売敵となり、行く先々でユリの影に悩まされるルリは、ユリに憎しみを抱くようになる。
デヴィ夫人が叶姉妹を偽上流で自分は上流と言う根拠は、「婚姻」の二字で、言わなければわからないかもしれない出自コンプレックスをわざわざ開陳しているのだが。ともあれ、そこへいくと男はふつうに、評価するときには努力で成功した人を努力の分け尊ぶ。
男の世界で、「逆玉」はもちろん、「ボンボン」も蔑称である。『愛される理由』今からかれこれ二十年前の出来事をつづった本に、自分が、結婚し出産し、憧れの街に旧を構えました、という人生の三大通知葉書(死亡を除く)のようなことを、なぜだか愛される理由』と自ら堂々と受動態で言い切ったものがあった。個人史、エッセイ、こう呼べば元からあったジャンルである。が、これは「ライフスタール」を語った個人の本として、史上、最も売れた本であると私は思う。
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